SBI証券から2021年6月15日より、低コストインデックスファンド「SBI・Vシリーズ」が新設されることが発表されました。
同時にSBI・Vシリーズとして、以下の3つのインデックスファンドが発売されます。
いずれのファンドも内容としては米国のバンガード社(Vanguard)が運用するETFに投資するもので、低コストが売りの投資信託となっています。
Contents
SBI・Vシリーズ
それぞれのファンドの中身について簡単に解説します。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
1つ目の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は米国ETF VOOに投資するファンドとなっています。
VOOは米国のヴァンガード社が運用するS&P500指数に連動を目指したインデックスファンドですから、間接的に「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」もS&P500に連動したインデックスファンドとなります。
どうやら「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は現在取扱い中の「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」(愛称:SBI・バンガード・S&P500)の名称が変更されるだけのようです。
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
2つ目の「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」は、米国ETF VTIに投資するファンドとなっています。
VTIは上記のS&P500を含む米国全体の企業(約4000銘柄)に投資するファンドで、米国全体の企業業績を反映するファンドとなります。
これまで、VTIに投資する投資信託は楽天証券の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」がありましたが、今回SBI証券にも新たにファンドが発売されます。
SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド
3つ目の「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」は、米国高配当ETF VYMに投資するファンドとなっています。
他の2つのファンドと違ってコチラは米国高配当株式インデックス・ファンドとなっていて、より高い分配金(分配利回り)が得られます。
投資信託の分配金再投資コースを選択した場合、ファンド内部で分配金が再投資されるため解約時まで分配金に課税(源泉徴収)されません。
そのため、本投資信託を通じて投資する場合は、VYMを直接購入する場合に比べて分配金再投資効率が高いというメリットがあります。
手数料の比較
SBI・Vシリーズの手数料について確認してみます。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド | 【参考】eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 【参考】楽天・全米株式インデックス・ファンド | 【参考】楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド | |
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投資先 | S&P500(VOO) | 全米株式(VTI) | 米国高配当株式(VYM) | S&P500 | 全米株式(VTI) | 米国高配当株式(VYM) |
信託報酬率(経費率) | 年0.0938% | 年0.0938% | 年0.1238% | 年0.0968% | 年0.162% | 年0.192% |
運用 | SBIアセットマネジメント株式会社 | SBIアセットマネジメント株式会社 | SBIアセットマネジメント株式会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 | 楽天・全米株式インデックス・マザーファンド | 楽天・米国高配当株式インデックス・マザーファンド |
設定日 | 2021年6月29日 | 2021年6月29日 | 2021年6月29日 | 2018年7月3日 | 2017年9月29日 | 2018年1月10 |
見ての通り低コストが売りということだけあり、信託報酬が0.1%前後で同様の投資信託と比べても低く抑えられています。
S&P500に投資するにせよ、全米株式に投資するにせよ、SBI・Vシリーズが最も安い手数料を打ち出しています。
特に、VTIに投資する投資信託の場合、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の信託報酬率(経費率)が年0.162%なのに対し、今回新しく発売される「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」では年0.0938%と大幅に低く設定されています。
信託報酬率(経費率)が0.08%と書くと小さい数字に見えるかもしれませんが、言い換えるとリターン(利回り)の差が0.08%あるということになります。
長期で運用すればするほど複利効果でこの差は大きく現れて来ることから、中身が同じファンドであれば信託報酬率(経費率)は低い方が正義です。
我々はファンドにお金を預けるだけですから、預け先を間違えないよう信託報酬率(経費率)についてはよく確認する必要があります。
投資信託(SBI・Vシリーズ)に投資することの意義
SBI・Vシリーズの信託報酬が他の投資信託に比べて安いとは言え、中身が米国ETFであれば直接ETFを買えばいいのではないかとも思います。
SBI証券であれば米国ETFの定期買付設定もできますし、日本円でも購入できます(自動為替)から、積極的に投資信託に投資する必要はありません。
しかし、以下の点で投資信託を購入した方がよい点があります。
小額から任意の金額で円建て投資できる
米国ETFを直接購入する場合、銘柄ごとの株価を基準に購入株式数分の資金を用意することが必要になります。
例えば、5/30時点では1ドル=109.86円、VOOが1株あたり386.13ドルとなっていますから、1株当たり386.13ドル(もしくは約42,420円+為替手数料)の資金が必要となります。
2株欲しければ倍の資金が必要です。
積立投資をする場合は、大きな金額になりますから米国ETFを直接買い付ける場合は投資額のコントロールが難しくなります。
一方で、投資信託であれば100円以上で任意の金額で投資することができます。
例えば、毎月1万円など、固定した金額で投資信託(間接的にVOO)を購入することがでます。
また、つみたてNISAで購入する場合は、毎月3万3333円等の端数の金額で投資信託(間接的にVOO)を買うこともできます。
(SBI・VシリーズがつみたてNISAの対象商品になるかどうかは分かりませんが、おそらく対象商品になるでしょう。)
特に投資初期or少額の投資の場合、投資計画やポートフォリオのバランスを考えるうえでは直接ETFを買うよりもきめ細かく柔軟な投資ができる点で投資信託(SBI・Vシリーズ)が有効です。
クレジットカードで決済できる
楽天証券は楽天カード保有者向けに、投資信託や国内株式購入の購入をクレジットカードで決済できるサービスが提供されています。
SBI証券では6月30日からクレジットカードで積立投資が可能になりますが、投資信託の積立に限り対象のクレジットカードで決済が可能になります。
通常クレジットカードでは投資信託や株式の購入は出来ませんし換金性の高い商品を買うことはグレーな扱いでしたが、今後新たなサービスとしてクレジットカードでの一部株式投資が出来るようになります。
クレジットカードで投資できることのメリットとしては、クレジットカードの利用実績を積んだりポイント(0.5%~1.5%)が付くことが挙げられます。
分配金再投資が効率よくできる
通常ETFを購入して分配金を受けとる場合、分配金の額に応じて税金が源泉徴収されてしまいます(外国課税10%と国内課税20.315%)
投資信託の場合、分配金を受けとるか/再投資に回すかを選択することができます(分配金が出る場合)。
再投資を選択した場合、ファンド内部で分配金が再投資資金に充てられます。
この時、分配金を受け取らない(支払われない)ため、分配金には課税されずそのまま再投資に回されます(※外国税のみかかります)。
再投資の場合は、実態として分配金を出したファンドと同じファンドを購入することになるのですが、課税されない分だけ再投資効率が良いことと機械的に再投資に回すので無意識に資産拡大が出来るというメリットがあります。
資産形成においてはでは投資を継続することが重要ですが、これが意外と難しくもあります。
私は資産形成を目的に、投資信託(積立投資+分配金再投資)を始めるのは良い選択だと思います。
どれを買うか?
今回新たにSBI・Vシリーズが発売されますが、どの投資信託を買うのが良いか考えてみます。
VYMの分配金再投資は微妙?
今回新しいと思ったのは、「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」です。
これは、インデックスファンドと書いてありますが、VYM(米国高配当株式)に投資しているのがポイントです。
VYMは高配当ETFの中ではトータルリターンが高いためインカムゲインとキャピタルゲインを両方狙える銘柄です。
投資信託を通してVYM(高配当株式)に投資することは分配金再投資で再投資効率を高める観点で意義がありそうですが、私的には微妙だなと思っています。
理由の1つに、手元に分配金が入ってこないのに高配当銘柄に投資する意義はなんだろうか?ということです。
私は高配当銘柄に投資する一番の目的はインカムゲインを得ることだと思っています。
投資信託を通じて分配金再投資すれば再投資効率は高まりますが、高配当銘柄に投資する意味がなくなります。
分配金を受け取って生活費に充てたり、遊興費に使ったり、あるいは結果的に投資に回すとしても再投資に回すか?別の銘柄を買うか?等、使い道を自分で選択できることに最大の意義があると思っています。
資産拡大を目的に分配金の使い道を「再投資」に固定するのなら、それこそVYMではなくインデックス投資の(VOOやVTIに投資した)方が高いトータルリターンが期待できます。
分配金再投資をしないなら投資信託に投資するメリットは薄くなりますし、投資信託で分配金再投資をするならVYM投資はナンセンスかと思います。
(VYMは高配当ETFの中ではトータルリターンは高いですが、インカムゲインを目的としない場合はVYMを買うのはスジが悪いんじゃないかと思います。)
私は高配当株式に投資するなら、課税されても分配金の使い道を選びたい派です。
トータルリターンの比較
それぞれ異なった特徴を持つファンドなので、この先どのような結果になるかは分かりませんがファンドの投資先の実績を見てみます。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド | |
---|---|---|---|
投資先ETF | VOO | VTI | VYM |
信託報酬率(経費率) | 年0.03% | 年0.03% | 年0.06% |
直近配当利回り | 1.31% | 1.23% | 2.46% |
1年トータルリターン | 40.38% | 44.15% | 37.85% |
3年トータルリターン | 18.01% | 18.08% | 12.03% |
5年トータルリターン | 17.17% | 17.41% | 12.20% |
参照URL | https://www.bloomberg.co.jp/quote/VOO:US | https://www.bloomberg.co.jp/quote/VYM:US | https://www.bloomberg.co.jp/quote/VYM:US |
比較してみると、過去最もリターンが高い実績を残していたのはVTIでした。
このデータに倣うと、「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」に投資すると最も高いリターンが得られます。
若干の差はあれど、VOOとVTIはほぼ同じリターンが得られるというのが分かりました。
一方VYMは、トータルリターンがVOO、VTIに比べて低くなっています。
あくまでも、過去の実績なので今後も同じリターン・傾向が得られる訳ではないことに注意です。
私の結論
上記の理由から、歴史に学べばVTIに投資するのがベストです。
私は現状、私はつみたてNISAで「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」を購入していますので、「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」に変更するか、つみたてNISAとは別に買い増資ししたいと思います。
VOOとVTIの2つはリターンに大きな差は無いですし、今後もないと思っていますので「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」一本でもいいような気もします。
一方、「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」は、VYMの株価が106ドル台と比較的リーズナブルでもありますので、あえて投資信託で買わなくても直接ETFを買えばいいんじゃないかなと思いました。
VYM自体は魅力的なETFなので、引き続き買い増し予定です。
まとめ
SBI・Vシリーズについて簡単に解説してみました。
いずれのファンドも内容としては米国のバンガード社(Vanguard)が運用するETFに投資するもので、低コストが売りの投資信託商品となっています。
これまでの類似投資信託よりもコストが安かったり、高配当株式への投資商品も登場して選択の幅が広がりました。
投資信託を通じてVTIに投資する選択肢が増える&コストが下がるのは嬉しいですね!
新規募集は2021年 6/15からです。
興味がある方は是非どうぞ。
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