Linux上にEPGStationとMirakurunを構築する方法~Raspberry Pi/Ubuntuを録画サーバ化しよう~

自宅サーバー

以前、自宅サーバの環境(ubuntu18.04LTS+px-w3u4)にDockerを使って録画システム構築する方法を紹介しました。

しかし、Dockerを使わずに直接Linux上(ホスト上)にEPGStationとMirakurunをインストールして録画サーバ化したい方もいらっしゃると思うので、手順を公開します。

私も、これまではDockerを使わずに録画サーバを構築しており、以前は今ほどLinuxで構築する情報はなかったので何十回とスクラップ&ビルドを繰り返して手順を確立しました。

再現性は100%の手順なので、録画システムを構築したい場合にぜひ参考にしてください。 この通り実施すれば確実に&最短手順で録画サーバが出来上がります。

あなた
あなた

Dockerなんて知らん!いまさら関わりたくない!

って方向けです。

サーバ環境

説明の前提として、自宅サーバの環境(HW/SW)を記します。外付けHDD等は省略していますが、録画システムの構築に関する条件としては下記のとおりです。

ハードウェア

  • Linuxサーバ
    • ECS LIVA Z(n4200)
      • CPU n4200 (QSV/vaapiに対応)
      • eMMC 64GB
      • 拡張ストレージ SSD 120GB(録画領域。外付けHDDでも可)
      • メモリ 16GB(4GBあれば十分録画可能です。)
  • 地デジ・BS/CSチューナー
    • PLEX px-w3u4
      • 4番組同時録画(地デジ×2、BS/CS×2)が可能です(8番組同時録画可能なプレクス社のpx-w3q4でもOKです)
  • B-cas対応 ICカードリーダー
    • NTTコミュニケーションズ SCR3310-NTTCom
      • Linuxだとpx-w3u4内臓のカードリーダーが使えないので別途カードリーダを準備します。

上記の不足するものがあれば、事前に購入してください。チューナーはプレックス社製のチューナーならどれでもOKです。

以下の製品に対応しています。

<Plexチューナー>
・PX-Q3PE
・PX-W3PE4
・PX-Q3U4
・PX-W3U4

<e-Better>
・DTV02-1T1S-U (実験的)

株式会社プレクス パソコン・パソコン周辺機器メーカー PLEX

本手順は、px-w3u4(USB接続タイプ)を前提としています。

また、基本的に最近のLinuxサーバであれば問題ないです。ただ、Raspberry pi 3B+だと性能的に動作が安定しませんでした(rpi4は未検証)。また、以前Tinker board Sで録画サーバを構築しようとしましたが2番組以上の同時録画でノイズが出てしまいました。常時起動の録画サーバにする場合は、性能的に余裕を持たせたサーバを使うことをオススメします。

未検証ですがRaspberry pi 4で構築できるという報告も多数あがっています。

Raspberry Pi 4 Model B /ラズベリーパイ4B(8GB RAM)技適マーク付/MicroSDHCカード128GB 一式セット

以前、録画サーバとして使っていたECS LIVE STATION LS-4-64は録画サーバとして非常に安定して動作していました。

私と同じ環境で構築される場合、構築で躓いた際にサポートできると思います。メモリ8GB以上を選択すればエンコード等しても性能的に問題はないと思います。Windows10マシンですが、私はUbuntuを上書きインストールして自宅サーバを構築しています。

ECS Windows 10 Home Sモードを搭載した小型デスクトップパソコン LIVAZ-16/120-W10S(N4200)TS メモリ16GB ストレージ120GB+64GB

PLEX USB接続 地上デジタル・BS・CS対応TVチューナー PX-W3U4

NTTコミュニケーションズ 接触型ICカードリーダー・ライター e-Tax Win&Mac対応 SCR3310-NTTCom

ソフトウェア

  • OS
    • ubuntu 18.04 LTS
      • raspbian等、Debian系のOSなら同じ手順で実施できると思います。
      • CentOS等、Redhat系でもドライバ以外のdocker構築手順は同じです。
  • ミドルウェア
    • git
    • samba
      • 必須ではないですが、あった方が便利です。

参考記事

sambaは録画システム構築に必須ではありませんが、Windowsのエクスプローラから参照できた方が便利かと思いますので、事前に入れておいた方が良いです。dockerを使ったsambaの構築方法は以下の記事を参考にしてください。

外出中にスマホから録画予約をしたい場合は以下の記事が参考になるかもしれません。

構築手順

以下を順番に実施してください。

aptアップデート

aptアップデートを実施します。

タイムゾーンの変更

時刻を日本時間にします。

b-casカードリーダーの設定

ICカードリーダーのドライバをインスト-ル

チューナードライバの設定

nns779さんが開発されたpx4_drv(PLEX PX-W3U4/Q3U4/W3PE4/Q3PE4 用の非公式版Linuxドライバ)をインストールします。

GitHub - nns779/px4_drv: Unofficial Linux driver for PLEX PX4/PX5/PX-MLT series ISDB-T/S receivers (not V4L-DVB)
Unofficial Linux driver for PLEX PX4/PX5/PX-MLT series ISDB-T/S receivers (not V4L-DVB) - GitHub - nns779/px4_drv: Unofficial Linux driver for PLEX PX4/PX5/PX-M...

インストールに必要なファイルは~/srcに作成します。

ドライバ再インストール時

再インストールの場合は以下も実施します。

DKMSのインストール

DKMSによるドライバのインストール設定

ドライバアンインストール

参考ですが、px4_drvとDKMSのアンインストール方法は以下を実施します。

ドライバのインストールは以上です。

libarib25のインストール

libarib25を導入します。

録画データをでコードするために必要です。

GitHub - stz2012/libarib25: Linux用ARIB STD-B25ライブラリ(各録画ツールにarib25ソースを添付しなくとも、Makefile内で-larib25でコンパイルできる)
Linux用ARIB STD-B25ライブラリ(各録画ツールにarib25ソースを添付しなくとも、Makefile内で-larib25でコンパイルできる) - GitHub - stz2012/libarib25: Linux用ARIB STD-B25ライブラリ(各録画ツールにarib25ソースを添付しなくとも、Mak...

recpt1のインストール

recpt1を導入します。

録画をCLIコマンドで制御するために必要です。

録画テスト

ここまでの手順によって、コマンドで録画できているはずです。

以下のコマンドで録画可否を確認してみてください。

生成したファイルがVLC等で再生できれば正常です。
うまくいかなかったら、libarib25を再インストールしてみてください

Mirakurunのインストール

MirakurunはkanreisaさんがgitにMirakurunをアップロードしてくださっていますので、ありがたく使わせていただきます。

Mirakurunはチューナーのリソースの管理と制御を一元的に担います。

tuners.yml

mirakurunがpx-w3u4を使うように、設定ファイル(tuners.yml)を作成しておきます。px-w3u4のチューナ数は地上波×2、BS/CS×2となります。

mirakurun/conf/tuners.ymlを修正します。

tuners.ymlは修正箇所は特にないので、そのまま上記の内容をコピペでOKです。

channels.yml

以下は関東一円で地デジ番組を視聴する場合のチャンネル情報です。 mirakurunが番組情報を取得する際に使う、チャンネル情報を設定します。地上波は地域に合わせて記述してください。 地上波に関しては、mirakurunにチャンネルスキャン機能があるので、記述しなくても後で設定可能です(後述)。

BS/CSチャンネル情報は、自身が視聴できる番組だけ残して保存します(視聴できないチャンネルを残すと、番組表が見づらくなります)。

チャンネルスキャン

地デジ番組だけは、チャンネルスキャンで更新できます。少し時間がかかります(~20分)。

チャンネルスキャンが終われば以下コマンドでチャンネル更新を確認します。

問題なければMirakurunを再起動します。

rivarunで動作確認

rivarunでMirakurunの動作を確認します。rivarunはMirakurunのドライバです。

上記コマンド実行の結果、

のような応答だけが出るまで待ちます。

等は、受信中か受信不可チャネルなので、後でchannels.ymlから消します。

録画テスト

Mirakurunを経由して録画ができているか確認します。

以下のコマンドで、全チューナーで録画できているかチェックします。

ファイルが生成されて、VLC等で再生できれば成功です。

私

あと一息、頑張りましょう!

EPGStationインストール

EPGStation開発者のl3tnunさんがgitにEPGStationをアップロードしてくださっていますので、ありがたく使わせていただきます。

EPGStation

Mirakurun を使用した録画管理ソフトです

iOS・Android での閲覧に最適化されたモバイルフレンドリーな Web インターフェイスが特徴です

PC からの閲覧でもモダンな UI で操作可能です

GitHub-l3tnun/EPGStations https://github.com/l3tnun/EPGStation
GitHub - l3tnun/EPGStation: Mirakurun を使用した録画管理ソフト
Mirakurun を使用した録画管理ソフト. Contribute to l3tnun/EPGStation development by creating an account on GitHub.

config修正

コンフィグは適宜修正してください。

https://github.com/l3tnun/EPGStation/blob/master/doc/conf-manual.md

デフォルトのコンフィグとして、用意されているサンプルを使います。

録画ファイルの保存先は事前に修正しておいた方がいいかもしれません。

私

これでインストールは完了です。

録画サーバの起動確認

いよいよEPGStationを起動させます。

以下のURLからEPGStationを開いてみます。

URL: http://<IPaddress>:8888

GUI画面が出れば成功です。

番組表は初回起動時は、全部表示されるまでに時間がかかります(更新に時間がかかるため)。

MirakurunのEPGデータ取得状況は以下のURLから参照できます。

URL:http://<IPaddress>:40772/api/channels

メニューから「番組表(GR)」を開いて、以下のように番組表が見えれば成功です。

EPGStationは非常にUIが使いやすいので、慣れて覚えましょう。ルールを作成しておけばあとは勝手に録画やエンコードしてくれます。同じネットワーク内であればスマホからでもアクセスできるので、録画予約や視聴も簡単にできます。

関東圏以外にお住いの方は、必要に応じてチャンネルスキャンを実施してください(地上波のみ)。

私

お疲れ様でした!

外出先からの録画予約

ここまでできれば、外出時にも録画予約とか録画視聴したいですよね。間違っても8888番ポートをインターネット向けに開放するのはやめましょう。VPNの利用をオススメします。

まとめ

LinuxとPX-W3U4でLinux(ホスト)環境に録画サーバを構築する方法を紹介しました。
今回、PT3ではなくPX-W3U4を使って録画システムを構築できました。PT3はなかなか手に入らない&効果なので、プレックス社の製品で録画サーバが構築できるのは素晴らしいですね。

Dockerを使って録画サーバを構築する手順も紹介しています。もしよろしければ参考にして(挑戦して)みてください。

これでまた便利になりましたね!

他にもいろいろなサービス導入方法をご紹介しています。よかったら参考にしてください。

ECS Windows 10 Home Sモードを搭載した小型デスクトップパソコン LIVAZ-16/120-W10S(N4200)TS メモリ16GB ストレージ120GB+64GB

PLEX USB接続 地上デジタル・BS・CS対応TVチューナー PX-W3U4

NTTコミュニケーションズ 接触型ICカードリーダー・ライター e-Tax Win&Mac対応 SCR3310-NTTCom

コメント

  1. poko より:

    はじめまして。大変わかりやすいページですぐにでも試そうと考えております。
    一つご質問させていただきたいのですが,この手順で構築して,録画しながらまたは録画していなくてもLANを通してライブ視聴することは可能でしょうか。

  2. こもね より:

    >pokoさん
    コメントありがとうございます。
    回答が遅くなってしまい、申し訳ありません。

    この記事の通りpx-w3u4で録画サーバを構築すれば、録画しながらでもライブ視聴が可能です。

    このチューナーのリソースは地デジ×2、BS/CS×2ですので、
    地デジ(BS/CS)で2番組同時録画中は、ライブ視聴はできません。
    地デジとBS/CSでそれぞれ1番組ずつの録画中なら、ライブ視聴は可能です。
    (私も稀にPCでライブ視聴しますが、その際はVLCで見てます。)

    ぜひ録画サーバの構築にチャレンジしてみて下さい~

  3. […] ドライバのインストールはここを参考にします。https://komone-life.com/2020/05/06/how-to-install-epgstation-bcas/#i内臓B-CASカードリーダーはドライバが対応していないので別にICリーダーを付ける必要があります。SoftCasとか言うのもあるみたいですが怪しげなので使いたい人は調べてみてください。recpt1のインストールまでは問題なくできました。 […]

  4. きり より:

    こんばんは
    とても丁寧な解説で有り難く試させていただきました
    しかしながら当方の環境では非公式ドライバによるPCIボードの認識ができず頓挫しております
    使用しているPCIボードはPX-W3PEでOSはUbuntu20.04LTSとUbuntu18.04LTSで試しました
    modprobeでカーネルモジュールをロードはできていますがそのままOS再起動をかけてもデバイスファイルが作成されませんでした
    ハードウェア的に認識しているかどうかの切り分けのために同じハードウェア環境でCentOS6.4でPlex社の公式Linuxドライバを入れてみましたがこちらはデバイスファイルが作成されるところまで確認できましたのでハードウェア的な部分までは問題ないのではないかと踏んでいます
    「PX-W3PEでもOK」との記述がありますが、これは最後まで動作確認をされたものでしょうか
    それともカーネルモジュールのロードまでは確認したということでしょうか

    もしできればそのへんのご見解をご返信いただければ幸いです

    以上、よろしくお願いいたします

    • こもね より:

      >きりさん
      コメントありがとうございます。

      「PX-W3PEでもOK」との記述がありますが、これは最後まで動作確認をされたものでしょうか
      それともカーネルモジュールのロードまでは確認したということでしょうか

      いえ、確認してません。
      「PX-W3PEでもOK」は保証しているものではなく、ドライバの対応状況に基づいて記載しています。
      ちなみに、PX-W3PEとPX-W3PE4は別物のようです:)
      # 私も記事執筆時は知らなかったので、記載が混在しておりました。ご容赦くださいませ。

      • きり より:

        了解しました
        早速のご回答ありがとうございました

        貴重な情報ありがとうございます
        当方もまだやるのであればこれを機にPX-W3PE4の購入を検討したほうが良さそうですね
        その際には再びこちらの情報を参考にさせていただきます=)

        以上、ありがとうございました

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